ちょっと気になる仕事や会社ができると、ググって調べたりしますよね。
年収は?仕事内容は?キツくないの?
私も養蜂家になる前にググりまくって調べまくりましたが、自分が養蜂家になってみると、ネットに載っていた情報と実際は随分と違っていました。
今回は、事前にネットで調べていたけれど実際に養蜂家になって知った実際に感じたことの違いをお話できたらな、と思います。
この記事が、あなたが養蜂を始めるかやておくのか、その判断を誤らず、あなたの自由な暮らしの実現のお役に立てばとても嬉しいです。

意外と稼げる
私が養蜂家になろうか検討していたとき、一番気になっていたのは年収です。いくら興味がある仕事を見つけたとしても、食べていけないようなら仕事にするのは論外です。それでもやるのなら、副業や趣味にするべきだなと思っていました。
そうはいっても調べようにも知り会いに専業の養蜂家などそうそういるものでもないので、直接話しを聞けないのでググるしかありませんでした。
そしてネットで書かれていたのは、雇われるか起業して独立して行うかの違はあるとはいえ、どちらも15万円程度と、食べていくにはちょっと厳しい金額でした。ここから社会保障費とか支払うとなると、もう間違いなく食べてはいけないな。。。と、とてもがっかりしたのを覚えています。
しかし実際に専業の独立養蜂家になってみると、確定申告や経理など面倒なことを自分でやらなくてはいけないとはいえ、家族五人を十分養っていけるだけの収益は得られるものだと分かりました。
じっさい会社員時代より、実入りは随分と増えました。
それはたまたま向いていたとか何年も修行して技術を磨いたからじゃないの?
と思われるかもしれませんが、会社員時代に副業で週に2~3時間程度やっていて、特にだれかに師事して厳しい修行を経験してわけでもありません。
そして商売やマーケティングとは無縁の職種の仕事をしていたので、ビジネススキルも0でした。
「養蜂家の年収は低い」という私が閲覧していた記事は、まあ、あたりまえといえば当たりまえではありますが、現役の養蜂家ではなく記事を受注したライターさんが書いた記事なので、実際とは違っていたのかもしれません。
私も今は養蜂業以外にライターもやっているので、そのあたりを感じます。

ハチミツ販売は売上の一部に過ぎない
養蜂業はハチミツを採って販売するだけではなく、いろいろな稼ぎ方があることは知っていました。しかし収益全体に占めるその割合の大きさが予想外でした。
養蜂には、ミツバチの巣から作ったミツロウを販売したり、イチゴ農家やリンゴ農家に授粉用のミツバチを貸し出したり、またはミツバチそのものを販売できることは、ネットで調べていたので事前に知っていました。
しかしそれらはおまけ程度で補助的なものという認識でいましたが、意外と収益性が高いのに驚きました。
ミツロウはたしかにさほど収益性は高くはありませんが、イチゴ農家やリンゴ農家に貸し出すミツバチは1群だけで4万円前後。そして養蜂用のミツバチは1群5万円前後と、なかなかの高価格帯です。
ちなみに女王蜂は1匹5000円前後で取引されます。

「これぞ決定版!」という技術が確立されていない
養蜂で唯一、そして最も知らねければならないのはミツバチに寄生する「ヘギイタダニ問題」です。
養蜂業には他にも色々な作業はあるとはいえ、ミツバチも野生の生物です。少しくらいこちらが間違っても、ミツバチたちが自分たちでなんとかしてくれます。
そしてミツバチたちだけではどうにもならないヘギイタダニ問題ですが、養蜂家の作業として「これぞ決定版」といった手法はいまだ確立されていません。定められた季節にダニ剤を巣箱に入れるなど基本的な作業はあるものの、それだけではダニ問題は完全には解決することはできていない状況です。
そうして何年、何十年と歴がある人でも、失敗して全滅させてしまうことなど日常茶飯事です。そして仮に良い方法が発見されても、そうした「有益な情報が共有される」ということは、他の産業と比べて少ないように感じます。
たとえばIT業界のように、オープンソースで皆の知見を持ちよりより良い解決策を見つけて行こう、という感じではなさそうです。
なので蜂の数が増えてきたら巣枠という板を増やすことや、花が咲かない夏には砂糖水で給餌するなどの基本的な作用は同じですが、ダニ問題などの最重要なな作業はそれぞれの養蜂家が自分の最適解で日々の仕事に取り組んでいるのが実情です。

ミツバチは丁寧に扱うと優しくなり刺してこない
ミツバチは昆虫なので、人間と分かりあい心を通じ合わせるのは難しいはずです。しかし面白いことに、養蜂の作業で巣箱を開け閉めしたり、巣箱のなかをいじくったりするわけですが、その作業を静かに丁寧に行っていると、蜜蜂たちは刺してこなくなります。
100%、どんなときでも絶対にささない!と断言はできませんが、間違いなく敵意を見せて刺してくることはほとんどなくなります。

3月~6月以外はヒマ
養蜂は季節産業であることは間違いないので、3月から6月始め以外はそんなにやることも多くなく、ヒマです。
なかには半農半Xで養蜂が忙しい時期以外は他の仕事をする人もいます。
私の知り合いの養蜂家などは、春だけガッツリと働いて冬の間は新潟県で暮らしてでずっとスキー場でスキー三昧、という人もいますし、狩猟が趣味で冬の間は岩手県の山に籠ってクマや鹿を追っているという人もいます。

まとめ 養蜂で自由な暮らしを設計してくれたら最高ですが、違う方法であってもぜんぜん嬉しいです。
今回は、私が実際に専業の養蜂家になって気づいた就業前のイメージとの違いについてお話させていただきました。
私は「養蜂で自由な暮らし実現する人が増えてほしい!」という思いでブログの記事を書ていています。もし今回の記事で「養蜂はやれそうかな」と興味を持っていただけたら、それはとても嬉しいです。
ただ、私の願いは「自由な暮らしを自分で設計してデザインできる人」が増えれて欲しいのであって、その方法が養蜂でなくてもOKです。
たまたま私の経験を活かしてお手伝いできるのが養蜂だったというお話です。
ですので今後は果樹農業など、他の事でも私の経験と情報で情報発信できたらいいなと考えています。

この記事を書いた人
西山リョウ
明治大学 政治経済学部 経済学科 専攻:労働経済学
大学3年次、4年時に「労働経済学」の研究室(ゼミ)に在籍。研究に研究を重ねた結果、「どうやら私は働くことが好きではないようだ」という事実を発見する。
そして卒業後にふつうに就職しその後は地方公務員に転職。 そして会社勤めが精神的にいよいよ限界を迎えたころ養蜂家へ転身。
初年度から収益化。その後は生産するハチミツがふるさと納税の返礼品 になり、市の観光協会でも取り扱われる商品になる。 そして県立動物公園の養蜂コーナー設立の技術指導、コンサルを請け負い、はちみつ専門メディアの「はちみつ大学」のライターとしても活動中。
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