「養蜂を始めてみよう!!」とせっかく思っても、なにから準備して良いのかなかなか分からないですよね。
必要な道具は??法律的な手続きは必要なのかな??近所の人にも話をとおしておいたほうがいいのかな??
考えなければならないことや、決めなければならないことがたくさんあります。
いろいろ考えて悩んでいるうちに、なんだか養蜂をはじめるのが面倒くさくなってきてしまうケースもあります。
しかし養蜂業はあなたの生活を自由なものにするポテンシャルがあります。
経済的な自由や、嫌な仕事をしないで済む自由。そうであるのに、最初の面倒くささでせっかく動いた養蜂への好奇心がしぼんでしまうのは、とてももったいないことです。
この記事では、失敗なく正しい手順でスムーズに養蜂が始められるよう、養蜂を始める段取りと手順を解説いたします。
手順❶ 巣箱を置く場所を決める
なにはともあれ置く場所を決めなければ養蜂は始められません。
では?どんな場所を探せばいいの??
①庭がある人
団地や密集した住宅街であれば、隣接する家のご近所さんに一言、養蜂を始めることを伝えておいたほうがよいでしょう。1群や2群程度であれば、そうそうクレームは来ない印象です。
②マンションなどの共同住宅で庭がない人
私が養蜂を始めた理由の一つに、マンションのベランダで養蜂をしている人のニュースを観て、「こんな環境でもミツバチとか飼えるの!?」とびっくりして養蜂に興味をもったことでもあります。
その人は毎年ハチミツを収穫しているようでした。きっとマンションのベランダでも不可能ではないはずです。しかし、そうそうそんな理解がある住民ばかりとも限らないので、マンションのミーティングなどの際に許可を得る方が無難でしょう。
今は「銀座ミツバチプロジェクト」といって銀座で養蜂を行ったり、京都駅前のホテルの屋上で養蜂が行われたりと、「都市型養蜂」がトレンドとなっています。そのあたりを踏まえると、マンションは周辺住民の理解や考えという外部環境次第ではあるものの、「都市部での養蜂は無理」ではなさそうでう。
③住宅密集地ではない場所や中間山地にお住まいの方
もう何群でもいけます。
じゃあ、場所がない場合はどうするの??
①農家さんから場所を借りる
近くで農作業をしている農家さんを見かけたら、「養蜂をやりたいのだけれど、空いている土地とか知りませんか??」と尋ねてみることです。
ほとんど嫌な顔をされることはありません。耕作放棄地にしないように土地を除草だけして苦労されている農家さんも結構な数でいたりするので、喜ばれることさえあります。

②法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、土地所有者にアプローチ
農地を含め、森や山林でよさそうな場所をみつけても、それが誰の土地なのかは分からないと借りる相談もできません。そうなったとき、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得すれば、その土地の所有者が分かりアプローチすることができます。
ただし登記簿謄本(登記事項証明書)にはその土地の所有者の名前と住所は記載されていますが、連絡先までは記載されていません。連絡を取りたい場合は、郵送で問い合わせを行ってから相談するのが一般的です。

で、結局どうすれば??
②で記した「法務局で登記簿謄本を取得する」は、時間と手間のかかる作業になるので、①の「農家に話しかける」がおすすめです。そうはいっても知らない農家に話しかけたりするのもためらわれる方もいるかと思います。
そんなときは、これが一番おすすめなのですが、友人や近所のひとに
「養蜂をやりたいから空き地を探しているんだけど、貸してくれそうな人とか知ってるかな??」
とたびたび言っておくこと。そんなことで? と思われるかもしれませんが、本当に土地情報って入ってきます。
あなたの話を聞いた友達やご近所さんが違う友達や知り合いに聞いてくれたりして、どういうわけか結構良い情報が入ってくるものです。
自分の希望をだれかに話す だけなので、コストも時間も全くかかりません。

私はこんな感じで土地を工面することが多いのですが、経験上本当に情報がはいってくるものなので、ぜひお試しください。
注意点
注意点としては、たとえよさそうな林や森、農地が借りられそうになっても、それがゴルフ場の直ぐ脇の土地であったり、果樹園の横の土地であった場合は養蜂はできません。
農薬の関係で、もののみごとに全滅してしまいます。
私はこの失敗をしたことがありますが、本当にやりきれない気持ちになります。

手順❷ 種蜂を注文する
場所が決まったら、いよいよ種蜂(ミツバチ)の注文です。
一番オススメな注文方法は、近くの養蜂家から買い、引き取りに行くという手段です。
めったにあることではありませんが、輸送で購入するとミツバチが弱っていたり一定数が死んでしまっていることもあります。できれば顔の見えるやり取りが一番良いかもしれません。顔見知りになれば、困ったときに助言をもらえるかもしれません。
ただ、そうはいってもそうそう信用できる養蜂家など周辺にいるものではありません。
そうなってくるとネットで注文するほかありませんが、ネットで注文する場合は、できれば4月に届くもの。遅くても5月初めに届くものであればその年に採蜜できるので、そのタイミングで届くミツバチを発注しましょう。
そして口コミ等で誠実で丁寧な対応をしてくれることを確認するのもいいかもしれません。
こちらの質問の答えが雑であったりしても、もしかしたら要注意かもしれません。

手順❸ 飼育届を提出する
養蜂を行う際には、「蜜蜂飼育届」の届出が必要です。これは養蜂振興法という法律で定められたものです。
これはあくまで「届出」なので、許可・不許可が降りるというものではありません。届け出て終わりです。
すでに養蜂を行っている人は毎年1月末日までに、その年の届け出を行わなければなりませんが、はじめて養蜂に取り組む方は1月末日という期限を気にする必要はありません。
始める前に目安として2カ月前くらいに提出すればOKです。
届出先は??養蜂は面白いことに「畜産業」にカテゴリーされるので、それぞれ都道府県に設置されている「家畜保健衛生所」であったり「 農政部畜産課」に届け出ます。
手順❹ 養蜂資器材を準備する
養蜂資器材を準備するのは最後で大丈夫です。ネットや養蜂問屋に発注すれば、普通の宅配便のように届きます。ですので順番的には最後でOKです。
養蜂を始めたいはやる気持ちは抑えて、道具の準備は場所と届出、良質な種蜂を抑えてからにしましょう。
ちなみに最初に必要なものは
ハイブツール(ミツバチの巣をいじるときに必要な金属製の板) 900円
面布(みつばちの攻撃から顔を保護する防具)1,100円
燻煙器(ミツバチを大人しくさせる煙を発生させる器具) 2,500円
巣枠(ミツバチに巣を盛らせる板) 8,000円(20枚合計金額)
といったところでしょう。
ちなみに金額は扱う業者やメーカーによって違います。上に記した金額は、あくまで私が使用しているものの値段です。
なかにはこれより高額なメーカーのものもありますが、その違いは意匠性くらいなもののような気がします。
私は今使っている価格帯のもので、不自由や使いにくさを感じたことはありません。
まとめ 正しい手順で収益性の高い養蜂を
今回は養蜂の始め方の手順をご案内いたしました。
何事も最初の順番は大切かもしれません。
家を建てるときに、土地を水平にならして基礎を構築する前に壁や柱を建てつける大工さんはいません。
きちんと手順を踏んでスムーズにスタートし、収益性の高い養蜂を行いましょう。

この記事を書いた人
西山リョウ
明治大学 政治経済学部 経済学科 専攻:労働経済学
大学3年次、4年時に「労働経済学」の研究室(ゼミ)に在籍。研究に研究を重ねた結果、「どうやら私は働くことが好きではない。」ということを発見する。
そして卒業後にふつうに就職し、その後に地方公務員へ転職。 そして会社勤めが精神的にいよいよ限界を迎えたころ養蜂家へ転身。
初年度から収益化。その後は生産するハチミツがふるさと納税の返礼品 になり、市の観光協会でも取り扱われる商品になる。 そして県立動物公園の養蜂コーナー設立の技術指導、コンサルを請け負い、はちみつ専門メディアの「はちみつ大学」のライターとしても活動中。
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